吉村健二 戯曲一覧

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塔の上から|吉村健二戯曲作品

塔の上から

郊外のニュータウン、自治会の役員は様々なトラブルに悩まされながらも〝故郷〟を住みやすくするため努力を惜しまない。そんな中、新参の住人がアンテナの名目で庭に塔を建て始める。浄水器の営業マンの失踪、超人的な嗅覚の老女の死との関連を疑う役員たち。自治会主催の「故郷の歌」の公募に寄せられた〝塔の歌〟は、町の支配を企む闇の勢力の蔓延りを予感させるものだった。

第6回AAF戯曲賞受賞 / 2007年愛知県芸術劇場にて上演

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はい、チーズ!|吉村健二戯曲作品

はい、チーズ!

雪深い北陸の田舎町、写真館を営む父親が倒れたとの報せを受け、七年ぶりに帰郷したトモキ。母親を病院に残し、店に戻ると、松山から来たという男からショーウィンドウに飾られている写真は失踪した妻なので住所を教えてくれと頼まれる。さらに14年前に父親が撮った写真の焼き増しを求める偽名の女も現れる。しかし、写っていたのは目の前の女とは似ても似つかぬ顔の女だった。

第12回沖縄市戯曲大賞受賞 / 2009年沖縄市民小劇場にて上演

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卓袱台返し|吉村健二戯曲作品

ちゃぶ台返し

家族のために食事をつくることだけが生きがいだった主婦、初江。心を込めた献立こそが家族を繋ぎ、幸せにすると信じてきた。しかし、大学生になった息子はサプリメント三昧、娘は摂食障害で過食嘔吐を繰り返し、単身赴任中の夫は拒食症のキャバ嬢にいれあげている。家族を昔のように〝自分の食卓〟にとり戻したい初江が通い出したのがカルチャーセンターの料理教室。そこは紙を素材にしたあやしげな〝紙料理〟なるものを教える講座だった。
「近松賞」最終選考作品

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モイライ(MOIRAI)|吉村健二戯曲作品

モイライ(MOIRAI)

耐震金具の営業、岡村透は三人の老婆の住む家で契約を取る。糸居依子、長沢計子、小田切雅美は元看護婦で産婦人科病院の同僚だった。そこへ松本裕子が訪ねてくる。赤ん坊の頃、病院で取り違えをされたのではと疑い、母親の担当だった長沢に確かめにきたのだ。三人は否定するが、ヘルパーの阿部が盗み出した秘密のノートには悍ましい〝運命交換ごっこ〟の記録が残されていた。そして岡村も……。

第23回名古屋文化振興賞戯曲部門佳作受賞

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ミュージカル太鼓八郎|吉村健二戯曲作品

太鼓八郎

太鼓馬鹿の八郎は秋祭で名人作次の代役を務め、一目置かれるように。八郎の〝腕〟を狙う鼓鬼の鬼八は妖しい太鼓の技を教える。日照の年、雨を呼ぶ竜神太鼓の存在を知った八郎は太鼓がある山に行こうとするが、作次に止められる。かつて魔性の太鼓に挑み、敗れて死んだのは恋女房綾女の父親だった。飢饉から村を救うため山へ向かう八郎だが、それはすべて鬼八によって仕組まれた罠だった。

第7回もりげき戯曲賞受賞 / 2001年盛岡劇場にて上演

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楠太郎氏の庭|吉村健二戯曲作品

楠木太郎氏の庭

一本のクスノキとベンチがあるだけの小公園。実は謎の人物、楠木太郎氏の私有地だった。隣接する新築マンションのデベロッパーと公園緑地課の窓際役人は土地の購入を目論み、楠木太郎氏の居所を探ろうとする。深夜、公園でカップルがプロポーズ中に婚約指輪を紛失。翌朝、〝公園の常連〟たちも巻き込んで大捜索したところ、指輪はクスノキの洞の中に見つかるが、そこには盗聴用のマイクと発信機、さらには監視カメラまで仕掛けられていた。
「テアトルエコー戯曲賞」最終選考作品

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傘の下にて|吉村健二戯曲作品

傘の下にて

英雄は叔母から相続した田舎の土地に新しいスタイルの霊園を計画し、真紀と古屋を住居兼事務所に改造、ホームページで入会者を募集する。突然、巨大な傘のモニュメントが建てられたものだから不信感を抱く村の人々。アクセスの悪さにもかかわらず、老夫婦を皮切りに厚労省の職員の女、宝くじが当ったニートの青年が申し込み、整備の協力も申し出る。だが、四名の入会者はそれぞれ別の目的を持っていた。そして偽夫婦の英雄と真紀にも秘密が。

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村民オペラ|吉村健二戯曲作品

村民オペラ

過疎の村には、バブル崩壊で頓挫した大規模リゾートの巨大な観覧車が骸を晒していた。廃校になった分校をペンションにと東京から若い夫婦がやってくる。案内した助役はIT長者の投資と勘違い、夢をもう一度と意気込むが、実は夫婦はリゾート撤退の際のイザコザで行方不明になった建設会社の技師の妹とリゾートに纏わる政治汚職を追求するライターだった。そしてその真相は、元分校の女性教諭が企画した『村民オペラ』の中に隠されていた。

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家族屋|吉村健二戯曲作品

家族屋

松本家は修平、伸子夫婦、美紀、和彦、祖母の久恵の5人家族。家業はいわゆる便利屋だが、〝家族のレンタル〟が主だ。反抗期の美紀やボケ始めた久恵に代わって稼ぎ頭は六歳の和彦。今日もハイミスの智子の御供でディズニーランドへ。帰ってきた智子は和彦を引き取りたいと言い出す。和彦も美紀も久恵も血が繋がらない寄せ集めの家族だったことを調べた智子は、〝家族屋〟は人の心の弱さにつけ込む悪徳商売と責め、児童虐待で訴えると脅す。

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アンドロギュノス|吉村健二戯曲作品

アンドロギュノス

倉庫として使われているビルの地下二階フロア。オフィスラブの交歓の場であり、会社で疎外された者たちの避難所であった。昼休み、突然強烈な揺れが襲い、フロアは崩壊。居合わせた者はことごとく死んだが、男女二人が生き残っていた。しかし男は視力を失い、女は脚が麻痺して歩くことができなかった。二人は諍いながらも共に救出を待つが、一向にその気配はない。外の世界も壊滅したのだと絶望する女に、男は〝合体〟による脱出を提案する。

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靴を失くして|吉村健二戯曲作品

靴を失くして

公園のベンチに座っている老人は靴を片方履いていない。近所の主婦と自治会長が何者か探っているところへ巡査が現れ、徘徊老人とわかる。連絡をうけた次男の嫁が迎えにくるが、靴がないからと帰ろうとしない。おまけに老人には夫々が妻、死んだ長男、孫、幼馴染の少女に見えるらしい。四人は何とか靴の行方を思い出させようとするが、軍隊時代の悲惨な体験や長男の出生と自殺の経緯など、封印したはずの老人の記憶が徐々に顕になっていく。
「日本の戯曲賞」最終選考作品

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トーキョードリーム|吉村健二戯曲作品

トーキョー・D

千代田区の巨大防空壕、「トーキョードーム」に迷い込んだひきこもりの青年。古今東西のいわくつきのベッドが保管された博物館のようなドームには、管理人のアイダ、殿下と呼ばれる少年、一卵性双生児の入院患者アスカとキョウコ、元自衛隊員で偽看護婦のイマイ、わけありげな母と娘とミッキーマウスたちが徘徊する。そして殿下の祖父のベッドの脇にあったのは、東京大空襲の際、ドームに通じる病院の井戸から転がり込んだ1トン爆弾だった。

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帽子の中で|吉村健二戯曲作品

帽子の中で

迷宮のような巨大病院に、シルクハットを被っただけの裸で街を徘徊していた男を警察官が連れてくる。診察したのは奇病ばかりを専門に扱う医師。頭にくっついて離れない帽子に男の記憶喪失の原因があるのではと“捜査”を始める。レントゲンを撮ってみると、帽子の中に写る床屋のハサミ。病室を抜け出して診察室に遊びに来る戦闘機マニアの少女たちも謎解きに加わる。病棟に出張してくる床屋、特別室の謎の男装の麗人も登場し、ますます混乱をきわめる。

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針と征く|吉村健二戯曲作品

針と征く

女子高生、乙子は鍼灸の専門学校の入学金を捻出するためネット販売のまじないグッズ店でアルバイトをすることに。自衛隊の中東派兵を機に「千人針」を売り出す経営者の有野。目論見は当り、申し込みが殺到するが、ある日、千人針を購入した自衛官の母親が店を訪れる。息子は自衛隊初の戦死者で、しかもその死は千人針の効果がない味方の銃弾によるものだった。さらに、千を超えると効き目がなくなることを承知で、夫の愛人に最後の一針を頼んだ自衛官の妻も現れる。

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十四歳|吉村健二戯曲作品

十四歳

二十年ぶりの中学の同窓会の後、廃校になった校舎にもぐりこんだ男女七人。二年生のときに取り組んだ演劇コンクールに話題が及ぶ。変わり者の女教師の脚本・演出による『南の島のオンバシラ』は昭和十九年、男たちが出征していない戦時下で行われた信州諏訪大社の奇祭「御柱」にまつわるもの。内容の深刻さに保護者からクレームがつき、結局上演にはいたらなかったが、当時、登場人物だった彼らが語り合ううちに女教師の過去と上演の意図が徐々に明らかになっていく。

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大けやき|吉村健二戯曲作品

大けやき

災厄が襲うという婆様の忠告も聞かず、代々守り続けた樹齢三百年の大ケヤキを切ってしまった権三だが、忠告が真実と知るとケヤキを生き返らせるため、日輪のついた“いのちの葉”を探し出す。葉を切り株に乗せると、そこは水で満たされる。足をすべらせ溺れるが、“井戸”は全てを企んだ魔の里につながっていた。権三は命からがら逃げだすが、ケヤキを切った際、卵を潰された親鳥たちに空中高くからたたき落される。気がつくと、生まれる前の昔に戻り、権三は大ケヤキと同化していた。童話「大ケヤキの権三」のミュージカル。

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人の世はおもしろや凸と凹|吉村健二戯曲作品

人の世はおもしろや凸と凹

ツルは器量がよくて、賢くて気立てがよいと三拍子揃った娘。それがさえない貧乏百姓の八郎のところへ嫁にくる。嫁様が気になって畑仕事にいかない八郎に困って、ツルは自分の絵姿を持たせてやる。その絵姿が風で飛ばされ、お城の殿様のもとに。殿様は美しいツルを自分のものにしようと、八郎に難題を押し付ける。ツルの知恵でやり遂げるのだが、殿様は無理やり城に連れ帰る。うちひしがれる八郎のところへツルからほうろく売りの格好をして城へ来るようにと伝言が。民話「絵姿女房」を基にしたミュージカル。

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空を飛んだ吉蔵|吉村健二戯曲作品

空を飛んだ吉蔵

空を飛ぶことを願う吉蔵。村の悪、弥助は空を飛ぶには改名が必要とか天女の羽衣を買ってやったなどといい、騙す。和尚に大それた望みは持つなと諭されても、飛びたいという思いは募るばかり。ある日、飢え死に寸前の旅の僧、慈空を助ける。慈空はお人好しの吉蔵の世話になろうと、空を飛ぶ道具、“天翔帆”の話をでっちあげる。天翔帆はできあがり、吉蔵は大喜び。ただの張りぼてだと書置きを残し、逃げ出す慈空。しかし、字の読めぬ吉蔵は裏山の崖から飛んでしまう。童話「空を飛んだ吉蔵」のミュージカル。

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ドカンと弾けりゃ|吉村健二戯曲作品

ドカンと弾けりゃ

庄屋の息子の嫁は器量よしで気立てもよかったが、おならを我慢したため具合が悪くなる。思う存分せよという姑を石臼につかまらせるが、そのおならのすごいこと、石臼ごと屋根の上まで吹き飛ばしてしまった。親を屁で飛ばすとは何事かと庄屋は嫁を里にかえそうとするが、途中、梨を取ろうとしていた馬方たちをおなら一発でやりこめると、これは結構なお宝だと思いなおす。村に旅芸人一座を装った盗人たちが押し入り、嫁を人質にしたときもおならで退治してしまう。民話「屁っこき嫁ご」を基にしたミュージカル。

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